私は、晩年のあなたに銀座で会ったのだ。
どこか物悲しい霊気を漂わせ、
笑顔の裏に人生の苦悩と孤独が垣間見えた。

それからしばらく後に、
あなたは扉のない教会の中に浮遊しながら入っていった。

生涯さがし求めた生命は、
生涯逃げ惑った孤独は、
そして、神の微笑みは・・

あなたが愛した酒の香りに誘われて
ふらふらに、なりながら、
死の淵に顔を並べて迎えにきたのだろう。

純粋であったがゆえに、
本物の芸術家であったがゆえに、
宿命の縄目にからまり、
捕らえられた人生となったのだ。

しかし、あなたの生きざまは、

パレットの上の絵の具のように、
ぶ厚く、鈍く・・
虹色の魂の輝きを放っていた。