2011年10月23日
大震災による津波の災害から、8ヶ月が過ぎようとしています。私は、3月11日の震災当日、東京都心のビルの8階でヨーロッパのメンバーと会議をしていました。
スイスやイタリアの人たちは地震の経験がほとんどなかったせいか、大変驚き、椅子から立ち上がって部屋の中をせわしく動き回りパニックに陥りました。そのあまりに恐れおののく様子に、私は何とかしなければと思い、天に向かって右手を高く上げ、ストップ、ストップ、ストップと3度叫びました。
と、その途端にピタッと地震が止まったのです。あまりにも私の声とタイミングが一致していたので、一同は驚き冷静さを取り戻しましたが、今度は津波が押し寄せるテレビ画面に釘づけになり言葉を失いました。
私の親しい友人たちも、何人か震災の地に家族や親戚がおり、一時は大変心配しましたが家族はみんな無事でした。ただ、残念なことに親戚の方で何人かは、未だに行方不明のままの人がいます。
私は、友人たちと一緒に皆の無事を祈り、救援に走る仲間たちに可能な限りの支援をさせてもらいました。ネパールの友人は、仏教の僧侶たちを集めて大祈祷会を催して下さいました。
あれから5ヶ月後の7月中旬、私は宮城県の石巻を訪ねました。がれきの山や破壊された町並みを見て、被害の大きさに改めて驚きました。自然の大きな力の前に、人間はあまりに小さな存在であることを思い知らされましたが、また逆に、力を合わせて一生懸命に生きる人たちの姿を見て、人間の強さと絆の大切さを痛感しました。
津波が襲ってきた海岸に立って、命をなくした人たちに手を合わせ、ご冥福を祈ると共に、生き残ることのできたご家族たちを見守って下さるように心からお願いをしました。今は静かに寄せては返す波の音、何事もなかったかのように水辺に餌を探す小鳥たち、時の流れの中で、いつかまたこの地も元通りになり、再度、発展していくことを願わずにはおれませんでした。