「今こそ正しい心の教育を!」
この度の、東日本大震災で生命を失われた方々や災害にあわれた数多くの皆様に対しまして、心からお見舞い申し上げます。
歴史上にもまれに見るほどの大きな犠牲であり、悲しい出来事でしたが、これを逆に大きなバネとして、今まで以上に良い日本、良い世界を築いていかなければならないと思います。それが、犠牲になられた方々への私たちの義務であり、日本人として先祖から受け継いだ高貴な精神のあり方ではないでしょうか。
今、重要なことは、震災から立ち直り日本がただ経済的復興を成し遂げるだけにとどまってはならないということです。日本の歴史に培われた「和」や「道」の精神の復活が必要です。それは、本来人間の幸福な人生や社会は、精神に本質的要素をおき、心と物質が共に豊かに調和することによってこそ築かれるものだからです。
二十世紀に起きた二度にわたる世界大戦の後、日本はアメリカの戦後政策と誤った左翼教育によって、人間として最も大切な人格の育成と家庭の愛と規範を失ってしまいました。そして、根本的な人生の目的をとり違え、物質的豊かさのみを追い求めるようになったのでした。また公益的精神を失い、個人の権利ばかりを追求するエゴイズムが蔓延しました。
その結果、人心は荒み、社会は人も家庭も小さな個に分解されてしまい、孤独が人々の心を暗闇の中に包み込んでしまったのです。
物質の豊かさと人間の幸福は正比例しません。それは、物質や肉体が人と人の心を結びつけ人生を幸福に至らしめる本質的要素ではないからです。人間の真の幸福は、公益的な愛の互恵関係による心の結びつきによって調和的に築かれるのです。その根本的基盤が家庭にあります。精神的豊かさの下に物質的な豊かさが築かれなければ、幸福な人生も社会も訪れることはあり得ません。
今回の大震災で私たちは一つの希望を得ました。また、世界中の人たちが驚きと畏敬の念を持って日本人を見つめました。それは、失ってしまったと思われていた日本の良き精神文化が、国民に、若者に、脈々と受け継がれていたことです。いたわりの心、公益的精神、我慢、助け合い・・。
時が流れ、この素晴らしい心を忘れない内に、日本が正しい方向性に具体的に歩み出さなければなりません。そのために、今こそ良き日本の精神文化に基づいた「心の教育」が必要なときです。