
すべての人が幸福になるための法則はあるの?
銀河の星々に包まれて、私たちが住んでいる青くて美しい星がある。広い広い宇宙の中で、私たちが生を営む小さな小さな星が地球星なのです。その青くて美しい小さな星には、無数の生物が肩を寄せ合って生きています。そして、その中で、私たち人類も一生懸命に命の光を輝かせようと生きています。
私たちが、この世界に生を受けたときには、既に沢山の命の絆が張り巡らされていて、私の小さな命が守られ育まれていました。
人間は、とても賢く、創造性に満ち、そして自由です。どれほど多くの幸福に出会うことが出来るのか、どれほど高い幸福を築くことができるのか無限の可能性を持っており、それは、私自身がどのように生きるかによって自由に決定することが出来ます。ただ、人間に与えられた自由は、どれほど多くの不幸に出会い、どれほど深い悲しみの闇に沈み込んでいくのかも、自分自身の選択によって左右される危うさをも含んでいます。
しかし、この世に生を受けて自分が不幸になることを望んでいる人は、一人としていないはずです。まして、父母においては我が子の不幸を望む人はいません。それが、本然の人間の心です。人間のみならず、小さな野ねずみでも、草原に群れる羊たちも、山に暮らす狐や狸でさえも、きっと、生物の全てが子供の不幸を望んではいないでしょう。
幸福な人生を生きること・・・。
誰もが望むこの願いを、どのようにすれば実現できるのでしょうか。全ての人たちが幸福になる法則を見つけ出すことができたなら、どんなにか素晴らしいことでしょう。それは、長い時を刻んできた人類の歴史的な夢の発見となるかもしれません。
私は、実はこの本を通して、皆さんと共にこの夢の発見に挑戦し、その夢を実現していきたいと思っています。決してそれは難しいことだとは思っていません。なぜならば、宇宙に存在するもの全てが“幸福の実現”という目的のためにあり、生命の絆は、その夢を実現するために綿密な計算の下に織られた、美しいタペストリーのようなものだからです。
ベルギーの詩人、モーリス・メーテルリンク(1862~1949)の童話劇「青い鳥」に表されている、貧しい木こりの子の兄妹チルチルとミチルが、夢の中で「思い出の国」「夜の宮殿」「未来の王国」などを訪ね、幸福の象徴である青い鳥を探しに行くというお話しがあります。しかし、どんなに青い鳥を探しても、どうしても見つけることができず、あきらめて自分たちの家に帰ってきたときに、結局のところそれは自分達の最も身近なところにある鳥かごの中にあったという物語ですが、私は、本当にこの物語が示す通りだと思います。
幸せの源はどこにあるのかを見失ったまま人生をさまよい歩くことは、たった一度の、しかも、儚いわずかばかりの歳月を生きる、私たちの“たった一つの命”を無駄にしてしまいます。青少年の時には、人生に沢山の夢を描きます。そして、それを大人になって実現しようと努力しますが、果たして、人生を終えていく時にどれだけの人たちが、青春の夢を叶えられたでしょうか。
誤った夢を描かないために、たった一度の人生を悲しみの闇に沈む不幸なものとしないために、幸福のある場所をしっかりと知っておかなければなりません。
幸福の源は、家庭にあります。地平に広がる未知の世界、数多くの誘惑的な物質文明の渦に巻かれ、めまぐるしく駆け抜けていく時間の中にあると、それは平凡でとても小さな鳥かごの中のように思えるかもしれません。しかし、そうではないのです。
人が幸福になるために欠かすことのできない、愛と命の根っこをしっかりと地面にはっていなければ、人生には嵐の夜があり、一滴の水もなく喉の渇きを抑えられないときがあり、凍えるような寒い日々が続く冬の季節を避けられず、幸せの実る木を枯らしてしまうことがあるのです。
家庭は、幸せを実らせるための根本的な木の根っこです。小さな命の種が地に蒔かれたならば、まず最初に、根を地面にしっかりと張らなければなりません。
・・・つづく
(続きは、社団法人「たった一つの命」でお求め下さい)