迎賓館赤坂離宮を訪れて
2016年4月19日

4月の青空の下で、白亜の洋館を囲むように薄緑色の若葉が優しく風に揺らいでいました。
かねてより念願の、迎賓館赤坂離宮を見学する機会を得ました。ここには、小磯良平画伯の代表作「絵画」と「音楽」という大作があります。
この二枚の作品は門外不出で、画集などの写真で見ることができても、ここに来なければ実物を鑑賞することはできません。
小磯の優しいまなざしによって表現されたアトリエの景色は、私が青春時代に画家を志していた時代のものです。窓から差し込む光に照らされて、若者たちの胸に秘めた夢や希望が、静かに滲み出るがごとくみごとに描き出されています。
日本の迎賓館の正面玄関中央階段を登ったホールに飾られているこれらの絵は、静かで穏やかな国民性を伝えるにふさわしい作品として、その役割を十分に果たしていると感じました。
ヨーロッパの有名な宮殿を見てきた私にとって、歴代の王や戦士たちが勇猛な姿で上から見下ろし、来客を威圧するように国家の力を見せつけるものや、贅を極めた装飾的なものではなく、ごく一般の庶民の若者が描かれ、その内面性の美しさと未来を築く強い意志が表現されています。
迎賓館として、外国の特別なお客様をお招きするところであるが故に、小磯良平という実直で平和を愛する画家に作品を依頼したことは、きっと日本の神々の思し召しだったのでしょう。
山本二三展 »